規模の大小に関わらず会社を経営している人にとっての共通の悩みの一つに挙げられるのが資金繰りではないでしょうか。資金繰りとは、会社の収入と支出を管理して、収支の過不足を調整することです。よくあるのが、得意先との大口の契約が成立しているものの、入金は数ヶ月先となるため、一時的に手持ちの現金が枯渇するというパターン。実際の収入と支出にはどうしてもズレが生じることになります。
そのため経営者は、いつお金が入って、いつお金が出ていくのか、常に資金の流れを把握し、備えておかなければなりません。せっかく収益を上げているのに、資金繰りが悪化しやむなく黒字倒産するという事態に陥らないためにも資金繰りはとても大切なことなのです。
そうした資金繰りに関する悩みを解決する一助となるのが法人カード。会社や個人事業主に対して発行されるクレジットカードです。どんなメリットがあるのでしょうか。法人カードについて詳しく紹介します。
法人カードの導入メリットは業務の効率化や経費節減など
法人カードとはその名の通り、会社や個人事業主など法人格を持つ者が使用することを前提としているクレジットカードのことです。カード会社によって中身は異なりますが、個人カードと比べてビジネスシーンでも使いやすいような機能やサービスが付いているのが特徴です。
早速、法人カードにはどんなメリットがあるのかを見ていくことにしましょう。
メリット① 経理業務の効率化
経理業務を効率的に行えるようになることが法人カード一番のメリットかもしれません。例えば、飛行機に乗って遠方へ出張する際、あなたの会社はどうしていますか?
・旅費の仮払い申請書を作成して出発前に現金を受け取っておく
・出張を終えた後に経費精算書を作成し、立て替えていた分の費用を返してもらう
おそらく大多数の会社がいずれかの方法を採用しているのではないでしょうか。これでは出張に行った本人はもちろん、経理担当者も書類の作成やらチェックやらで、余分に時間を取られることになってしまいます。
必要な経費の支払いを法人カードに切り替えておけば、一括で行うようにしておけば、さまざまな手間を省けるようになり、経理担当者の業務効率が改善されることが期待できます。
メリット② 経費の削減
オフィスの家賃、水道光熱費、事務用品をはじめとする備品の購入…。会社が事業を行っていくにあたっては、さまざまな経費を支払わなければなりません。こうした経費の支払いをそれぞれ銀行振り込みで行うと、都度振り込み手数料を払わなければならなくなってしまいます。実にもったいない話です。
そうした支払いを全て法人カードに一本化してしまえば、全て口座からの引き落としになるため、無駄な経費を削減できることになります。
メリット③ 利用限度額が大きい
個人カードと比べて利用できる金額が大きいのも法人カードのメリットだと言えるでしょう。利用できる金額が大きいということは、その分仕入れが増えるため、商売のチャンスがより広がることを意味しています。大きく売上や利益を上げることが可能になると考えられます。
メリット④ 公私混同に陥らない
特に個人事業主に多いのが、経費と個人利用の公私混同です。例えば同じショップで買い物をした時、一つは業務で使用するためのもの、もう一つはプライベートで利用するためのものであっても、会計を分けるのは面倒だからと一緒にしてしまうケースがよくあります。そうなると確定申告の際、どれが必要経費でどれが必要経費でないかの収集がつかなくなり、本来経費であるはずのものが計上できなくなる恐れも出てくることに。
法人カードを持ち、事業で必要なものは全て法人カードで支払うようにしておけば、公私混同に陥ることがないことはもちろん、確定申告にかかる作業も簡略化できます。
メリット⑤ 追加で従業員カードが発行できる
従業員に追加でクレジットカードが発行できることも法人カードの魅力の一つです。従業員がカードを不正使用してしまう可能性があるというデメリットもありますが、従業員からの経費申請に対して、いちいち現金を用意しなくて済むため資金運用が効率的に行えるというメリットがあります。法人カードの支払いサイトは、締め日から2カ月になるのが一般的。その猶予期間のうちに計画的に資金を運用できることになるため、会社のキャッシュフロー(資金の流れ)が改善されます。
メリット⑥ ポイントやマイルが貯まる
クレジットカード会社が実施しているポイントサービスなどの特典が受けられることも法人カードならではのメリットではないでしょうか。貯まったポイントは商品券や各種ギフトと交換できますし、出張で飛行機を利用する会社であれば貯めたマイルで席をアップグレードしたり、空港のラウンジが利用できたりするといった恩恵が受けられます。
メリット⑦ ビジネスに役立つサービス
多くの法人カードにはビジネスに役立つさまざまなサービスが付帯しています。その中身はクレジットカード会社によって異なりますが、経営相談ができるビジネスコンサルティングサービスや信頼できるビジネス情報を入手することができるサービスなどが受けられます。
また、ホテルやレストラン、レジャー施設などの優待があるサービスも。こうしたサービスは会社の福利厚生として活用すると良いでしょう。
もちろんメリットだけではありません。先ほども述べたように従業員カードが不正利用されるリスクがあるほか、個人カードでは利用できるキャッシング機能が利用できないとか、分割やリボ払いができないといったデメリットもあります。法人カードの導入を考えている場合は、そうしたデメリットも頭に入れておくことが大切です。
利用限度額や付帯サービスがポイント
法人カードを選ぶ時はじっくりと
法人カードのメリット・デメリットはお分かりいただけたと思います。その上で、いざ法人カードを申し込むにあたり、何をポイントに選べば良いのでしょうか。ここからは、法人カードの選び方のポイントをご紹介します。
ポイント① 利用限度額
まずは毎月どのくらいの経費がかかっているのか実態を把握しておくことが大切です。月単位あるいは年単位で必要な金額が想定できるので、その金額を上回る利用限度額が設定されている法人カードを選ぶと良いでしょう。
ポイント② 追加カードの発行枚数
追加で従業員カードを発行できるのが法人カードの魅力の一つだと紹介しましたが、もちろん無制限に発行できるわけではありません。追加発行可能枚数もクレジットカード会社によって設定が違うため、何枚まで可能なのか、従業員の数と照らし合わせて決めることが大切です。
ポイント③ 付帯サービス
法人カードにはさまざまなサービスが付いていますが、必ずしも全てが必要なサービスではありません。会社にとって本当に役に立つサービスなのかどうかをチェックしておくことも大事なポイントの一つです。例えば、出張でよく飛行機を利用する会社であればマイルが貯まる法人カードがおすすめ。接待に出かけることが多いなら、レストランやレジャー施設での優待サービスが充実している法人カードを選ぶようにしてみては。
ポイント④ 年会費
年会費がいくらになるのか、契約前にきちんと確認しておきましょう。法人カードの場合、年会費も経費として処理できるのはメリットですが、一つ注意が必要なのは、従業員カードを発行した枚数分だけの年会費がかかる場合があることです。従業員カードを発行しすぎて、思ってもいない額の請求が来て慌てることのないようにしてください。
法人カードを利用することで、業務の効率化や経費削減など、会社経営におけるさまざまなメリットを受けることができます。まだ法人カードを保有していない方は、ここで紹介した法人カードのメリットや選び方のポイントを参考に法人カードの導入を考えてみてはいかがでしょうか。