IT技術の進歩に加え、2019年に始まったコロナ禍によって、私たちのビジネススタイルは大きな変化を遂げました。
感染拡大防止の観点からリモートワークが一気に浸透し、社員同士あるいはお客様とのコミュニケーション手段にZOOMやTeamsなどオンラインのコミュニケーションツールが用いられるようになったのです。
これらのツールは、海外など滅多に会えない場所にいる人とのコミュニケーションが簡単になり確かに便利ですが、では、これからのビジネスは、会議も商談もすべてリモートで済むかというとそうではありません。
リアルに人と交流することが新たなビジネスチャンスを生み出すのではないでしょうか。アフターコロナの今だからこそ大切にしたい対面交流。そのメリットを紹介します。
アフターコロナで見直される対面交流の良さ
対面交流のメリットについて紹介する前に、まずは対面交流の範囲を明確にしておきたいと思います。ここでは、以下のビジネスシーンを対面交流として考えてみます。
・オフィス内で交わす社員同士の会話
・一つの部屋に集まって行う会議やミーティング
・面と向かって行う取引先との商談（相手先訪問、来客対応、喫茶店等外出先）
ビフォーコロナの時代は当たり前のように見かけた光景ですが、コロナ禍の世の中では密閉・密集・密接のいわゆる「３密」を避けるため、対面交流には制限がかけられました。
ようやくコロナ禍を脱した今、対面交流の場面は徐々に増え、その良さが見直されつつあるところです。
顔色をうかがうことが信頼関係の構築に繋がる
ではなぜ、対面交流が見直されているのでしょうか。それは、対面交流には相手との信頼関係を築きやすいというリモートのコミュニケーションでは得られないメリットがあるからです。
「顔色をうかがう」という言葉があるように、昔から日本人は人とコミュニケーションを取る際、相手の心情を察しようとして、表情や顔つきを観察してきました。相手を慮ることで、そうした心配りが相手にも伝わり、信頼へと繋がっていくのです。
ところが、リモートの場合だと、画面というワンクッションを挟んでいる越しでのコミュニケーションになるため、対面交流の時ほど相手の顔色をうかがうことはできません。面談をする時よりも、直接会って話をした時の方が、相手に対する理解度が増し、より密度の濃い関係が生まれることになります。
対面交流が効果を発揮するシチュエーションとは…
ではどのようなシチュエーションの時、対面交流が力を発揮するのでしょうか？特に対面交流が力を発揮すると思われるシーンを３つピックアップしてみました。
シーン① 初顔合わせ
これまで仕事をしたことがない新しい取引先と初めて顔を合わす時は、リモートで済ませず、対面交流をするように心がけましょう。互いに警戒心を持っているはずなので、相手がビジネスパートナーとして信頼に足る人間かどうか、直接会って確かめることが、信頼関係構築の第一歩となるはずです。
シーン② 商品・サービスのプレゼン
初顔合わせを済ませた相手に自社の商品やサービスを売り込むプレゼンを行う時も対面交流が有効です。
相手の目の前で説明した方が、商品・サービスの特徴やポイントが説明しやすいというのが、その理由。相手の反応を直に感じながら説明ができるので、説得力が上がります。どれだけ素晴らしい商品・サービスであるのか、リモートでは伝えきれないのではないでしょうか。
シーン③ クロージング
プレゼンをした商品・サービスを買ってもらえるかどうか、最も大事なクロージングの商談をする時もリモートで済ませず、直接お客様の元へ足を運びましょう。
対面交流でお客様の意向を汲み取り、最後の一押しとなる、より良い提案が行えるからです。ここで大切なのは、お客様の納得感。「この商品・サービスなら購入しても大丈夫」と思ってもらうためには、目の前で真摯に説明することが大切です。リモートより対面交流の方が成約する確率は上がるでしょう。
コロナ禍で人と人とのコミュニケーションが希薄になってしまったからこそ、アフターコロナの今、リアルなコミュニケーションの必要性が再認識されています。
以前は靴底を減らすことが営業担当者のステータスの一つでした。アポがなくてもお客様のところへ足を運び、印象付けることが重要視されていたのです。今の時代、アポもなくお客様を訪問することはかえって失礼に当たります。それでもお客様を頻繁に訪ね、リアルな人との繋がりを持つという本質は変わっていないのではないでしょうか。
コロナ禍でリモートコミュニケーションが増え、対面交流が減った時期がありましたが、今ではリアルなコミュニケーションの重要性が再認識されています。
リモートで簡単に打ち合わせができる便利な時代だからこそ、直接会って話をするリアルなコミュニケーションを大切にすることが、ビジネスを成功に導く秘訣なのです。
対面交流だからこそ気づくことができる、相手の表情や雰囲気を感じながらコミュニケーションを取ることで、相手との信頼関係が深まり、より良いビジネスの展望が開けるのです。
