1.人事労務関連の取り組みと活用できる助成金
多くの企業で重要となる2つのケースの人事労務関連の取り組みと、それを推進する際に活用できる助成金をご紹介します。
【ケース1】従業員の定着を促進するため、パートタイマーを正社員化する
既存従業員の定着を狙い、パートタイマーなどを正社員化する企業が増えています。そのような取り組みを行う企業にはキャリアアップ助成金が支給されます。
キャリアアップ助成金の概要は次のとおりです。
(1) 助成金の概要
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規従業員の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。今回のケースでは、このうち、「正社員化コース」が活用できます。なお、それ以外にも「障害者正社員化コース」、非正規従業員の処遇改善支援を進める際に活用できる「賃金規定等改定コース」、「賃金規定等共通化コース」、「賞与・退職金制度導入コース」、「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」、「短時間労働者労働時間延長コース」が用意されています。(令和4年10月現在)
(2) 支給額
正社員化コースについては、以下の金額が支給されます。
(出典) 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」P6(一部抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/000923177.pdf
支給申請上限人数は、①、②を合わせて、1年度1事業所当たり20人までとされています。そのほか、さまざまな加算の仕組みも用意されています。
詳細については次のパンフレットをご参照ください。
(出典) 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/000923177.pdf
【ケース2】高齢者雇用を促進し、65歳を超えても働くことができるようにする
採用難の中、65歳超えの高齢者雇用の促進を図る企業が増加しています。また、令和3年4月には高年齢者雇用安定法が改正され、まだ努力義務ではありますが、70歳までの就業機会を確保することも企業に求められています。このような取り組みを行う企業には65歳超雇用推進助成金が支給されます。
(1) 助成金の概要
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現するため、65歳以上への定年引き上げや高年齢者の雇用管理制度の整備など、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成されるものであり、次の三つのコースから構成されています。(令和4年10月現在)
①65歳超継続雇用促進コース
②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
③高年齢者無期雇用転換コース
今回のケースでは、このうち、「①65歳超継続雇用促進コース」が活用できます。具体的には、令和4年4月1日以降、以下のいずれかを実施した際に助成金が支給されます。
・65歳以上への定年引き上げ
・定年の定めの廃止
・希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入
・他社による継続雇用制度の導入
(2) 支給額
この助成金の支給額は、定年引き上げなどの措置の内容や年齢の引き上げ幅などに応じて、下表のとおりとなっています。
(出典) 厚生労働省「令和4年度65歳超雇用推進助成金のご案内」P1(一部抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/content/000763756.pdf
詳細については次のパンフレットをご参照ください。
(出典) 厚生労働省「令和4年度65歳超雇用推進助成金のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/000763756.pdf
2.雇用関係助成金の情報を集めるためには
雇用関係助成金の情報については、厚生労働省のホームページ※3で簡単に入手することができます。中でも、「令和4年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(詳細版)」※4は全343ページと、かなりなボリュームにはなりますが、非常に参考になります。
また、実際に受給を検討する助成金が決まったら、「キャリアアップ助成金 厚生労働省」といったキーワードで検索をすると、その助成金に関する厚生労働省のページを見ることができます。そこでは、Q&Aや支給要領などのさらに詳細な情報を見ることができ、また申請様式もダウンロードできるようになっていますので、ぜひご活用ください。
※3:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
※4:厚生労働省「令和4年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(詳細版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000763045.pdf
3.最後に
このように助成金は、上手に活用すれば、企業の積極的な取り組みを後押しするものになりますので、人事労務管理の改善などを行う際には、活用できる助成金がないか調べてみることをお勧めします。
シェアオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペースに入居している企業では事業拡大に伴う人手不足が深刻化しており、これを解決する一助として助成金を活用してみてはいかがでしょうか。