株式会社でも合同会社でも、会社を設立するためには定款(ていかん)を作成する必要があります。
定款を作成する上で知っておきべき、定款の基礎知識をまとめましたので、これから定款を作成する予定の会社はぜひ参考にしてください。
定款とは?
定款は会社の目的、活動、組織、運営方法などを記した、言わば会社の基本的なルールを定めたものです。
「会社の憲法」とも言われる存在で、どの会社でも会社設立時に定款を作成しなければなりません。
絶対的記載事項
定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。
「絶対的記載事項」は以下の項目です。
・目的
・商号
・本店所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所
・発行可能株式総数(定款作成時に定める必要はなく、設立登記申請時までに定款に定めれば良い)
※登記上では会社の本拠を「本店」と呼んでおり、一般的な店舗を指す本店とは異なります。
相対的記載事項
「絶対的記載事項」の他に、任意で記載する「相対的記載事項」というものがあります。
「相対的記載事項」は定款に記載することは義務付けられていませんが、定款に記載することでその事項の効力が有効となります。
「相対的記載事項」は多数ありますので、一部を以下に記します。
・変態設立事項
・設立時取締役及び取締役選任についての累積投票排除
・株主名簿管理人
・譲渡制限株式の指定買取人の指定を株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)以外
の者の権限とする定め
・相続人等に対する売渡請求
・単元株式数
・株券発行
・株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮
・取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人及び委員会の設置
・取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除
・社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約
・取締役会設置会社における中間配当の定め
電子定款
電子定款はCD-Rなどの電子媒体を使って定款を作成する方法です。
以前は紙で作成した定款しか認められておらず、紙の定款には4万円の印紙が必須となりますが、電子定款は印紙代が不要になります。
印紙代だけを見ると電子定款はかなりお得に感じますが、電子定款を作成するにはICカードリーダライタ、Adobe Acrobat Standard、住民基本台帳カード、電子証明書が必要となり、全て揃えるとなると印紙と同じく4万円ほどの費用がかかります。
中でも、PDF作成に必要なAdobe Acrobat Standardが高くつきます。
すでに電子定款を作成できる環境があれば4万円分お得ですが、これから環境を揃えるなら紙の定款とそれほど費用は変わらなくなります。
定款の公証認証
定款を作成したら、公証人役場で公証認証を申請します。
申請には認証手数料5万円と謄本交付手数料(250円 × 定款ページ数)、紙の定款の場合は4万円の印紙代がかかります。
株式会社設立には定款の公証認証が必要ですが、合同会社は定款の公証認証は不要です。
合同会社にも定款が必要ですが、公証認証の手数料5万円がない分、合同会社の方が会社設立費用は安くつきます。
また、株式会社の登記には15万円(または資本金×0.7%のいずれか高い方)がかかりますが、合同会社の登記は6万円(または資本金×0.7%のいずれか高い方)で済むので、電子定款で作成した場合は最低6万円で合同会社が設立できます。