会社を設立する方法は株式会社だけでなく、合同会社で立ち上げるという方法もあります。
株式会社と合同会社では設立に要する費用が異なり、合同会社の方が設立費用が安く、最低6万円から会社を設立することが可能です。
合同会社設立に必要な費用と、合同会社を選択するメリットについて解説します。
株式会社設立に必要な費用
会社を設立するためには、定款に係る費用と登記に係る費用が必要となります。
最低必要となる費用は、以下の4つです。
・定款に貼る収入印紙代・・・4万円(電子定款は不要)
・定款の認証手数料・・・5万円
・定款の謄本手数料・・・250円 × 定款のページ数(約2,000円)
・登記の際の登録免許税・・・15万円、または資本金×0.7%のいずれか高い方
合計:約25万円(電子定款の場合は約21万円)
合同会社設立に必要な費用
合同会社は2006年5月に施行された新会社法から設けられた会社の形態のひとつです。
新会社法の施行に伴って廃止された有限会社の代わりにできた会社形態で、株式会社よりも安く会社を設立することができます。
合同会社は定款の公証認証が不要である点、登録免許税の額が最低6万円である点が株式会社設立費用との大きな違いです。
・定款に貼る収入印紙代・・・4万円(電子定款は不要)
・定款の謄本手数料・・・250円 × 定款のページ数(約2,000円)
・登記の際の登録免許税・・・6万円、または資本金×0.7%のいずれか高い方
合計:約10万円(電子定款の場合は約6万円)
合同会社で会社を設立するメリット
合同会社は前項で述べた通り、株式会社より安い費用で会社を設立できるのが大きなメリットです。
電子定款を利用すれば約6万円で会社が立ち上げられるので、株式会社設立に必要な平均費用約25万円と比較すると約19万円ほど差があります。
株式会社よりも安く会社設立が可能である上に、株式会社と同じく法人扱いになり、個人事業主よりも経費として認められる費用の範囲が広がるので、節税がしやすくなります。
個人事業主が一人で合同会社を設立することも可能なので、節税対策として有効な方法です。
株式会社では毎年の決算公告が義務付けられていますが、合同会社に決算公告の義務はないのもメリットです。
決算公告に係る作業の手間と時間を省けるのは大きいですし、会社法の範囲内で定款を自由に規定することができるため、株式会社よりも自由度が高いのもメリットとして挙げられます。
合同会社から株式会社へ組織変更する際の費用
合同会社として会社を立ち上げ、後に株式会社へ組織変更することも可能です。
変更内容としては、合同会社から株式会社への名称変更、事業目的の変更はできますが、本店所在地の変更は別途手続きが必要となります。
合同会社から株式会社へ組織変更する際にかかる費用は、官報公告費用が約3万円(会社概要によって変わります)、登録免許税が6万円、合計約10万円かかります。
※官報は国が発行する新聞のようなもので、官報販売所に申し込んで組織変更したことを株主や債権者に公告します。
Apple日本法人も合同会社
合同会社は2006年施行の新会社法から始まった会社形態なので、認知度が低いことを懸念されている方も多いことかと思います。
確かに株式会社と比較すると知名度の面では劣りますが、実は世界的な企業であるApple日本法人(Apple Japan 合同会社)も合同会社なのです。
Appleの日本法人が合同会社であることを知らない方は多いと思いますが、世界的企業の日本法人も合同会社の形態を採用していることを知れば、知名度の低さがデメリットとしてよく挙げられる合同会社に対する見方も少し変わるのではないかと思います。
日本で合同会社という形態ができてまだ10年にも満たないので、これから知名度が高まっていくと予想されるので、知名度については徐々に解消されていくことでしょう。